野鳥のはく製作り通した環境教育プログラムの開発・3年間の実施より

発表者：山下 美夏
（公益財団法人 キープ協会 環境教育事業部）

　野鳥斃死個体を活用した標本作成プログラム実施における3年間の実施結果を発表します。
清里エリアでも観察資源として野鳥は重要な位置を占めています。野鳥のプログラムと言えば双眼鏡などで観察しての体験プログラムが多い中で、標本作成という観察以外での野鳥に対する学習の向上のプログラムを実施しました。

　参加者にはレンジャーという職業の仕事の一部を体験してもらいレンジャーに対して興味をもつ子供から実際に将来の仕事として考えている世代、および大人までの幅広い世代に職業理解を促しました。実施の際には動植物の標本（はく製）を残す重要性を伝える事も重点に置きプログラムを実施しました。

「西湖の日2025 アミューズ ヴィレッジ地域開放DAY！」を通して考える、総合エンターテインメント企業と大学、地域住民の協働

発表者：佐藤福大郎・高尾まどか
（株式会社アミューズ）

　富士河口湖町西湖へ2021年に東京から本社を移転した総合エンターテインメント企業である「株式会社アミューズ」。2022年10月に本社が完成し、翌2023年から3年連続で毎年3月15日(ゴロあわせで西湖)に地域住民との交流を目的としたイベント「西湖の日」を企画・実施しています。また2024年より2年続けて「都留文科大学」の地域社会学科の学生も実行委員会として西湖へフィールドワークに赴くなど、産学連携した双方に刺激となる取り組みを行っています。2025年には西湖地域有志による「おたふくの会」とも連携。西湖地域の食文化を次世代に繋ぐことを目的に、ジビエを利活用したコロッケの企画・開発などにも取り組みました。イベント当日には「おたふくの会」によるコロッケ提供を行い、学生によるパネル製作やインタビュー企画などで地域住民とともに新しい西湖の新名物誕生を盛り上げました。西湖の湖上ではアミューズが取り組む事業のひとつ「水上足漕ぎカヤックHOBIE」を活用した特別企画も用意。参加者は、学生ガイドを受けながらHOBIEに乗り湖上を巡り、西湖周辺の環境や歴史などの解説を通じて、人間と自然環境のつながりを学びました。参加者からは、「ガイドがあることで、ただHOBIEに乗るだけじゃなく、目的を持って乗ることができる」「非日常である西湖の湖上で、歴史や環境、文化を学ぶ場になった」といった声が寄せられました。今後は、本イベントをアミューズスタッフのみならず「自分たちのイベント」と思う地域住民や、地域で学ぶ学生など、多様な人々が交ざり合い刺激を与えあえる関係人口を増やしていきたいです。そして地域について考え、よりよい未来を次世代に繋げていける地域活性化に取り組んできたいと考えています。

山梨県における中部横断自動車道北部区間の現状と課題

発表者：北村 琉ノ介
（都留文科大学地域社会学科環境社会学ゼミ3年）

　今回は卒業論文執筆にあたっての中間報告の位置付けで、中部横断自動車道について進めている調査・研究の途中成果を報告します。今回取り上げるのは、「横断道の北部区間の計画が進まない要因はどこにあるのか」という点です。現状では、中部横断道は起点である静岡県静岡市から山梨県甲斐市をつなぐ南部区間はすでに2021年に開通しているものの、山梨県北杜市から長野県小諸市をつなぐ北部区間は未だ一部区間しか開通していません。

　南部区間と比較して、北部区間が未だ開通していない原因について、「住民の理解を得られていない」、「計画しているルートに問題がある」といった仮説に基づき今後の調査・研究を進めていこうと考えています。

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清里におけるシカのフンのインタープリテーション：多様なアプローチの比較

発表者：岡野 由美
（公益財団法人 キープ協会 環境教育事業部）

　清里におけるシカのフンを題材としたインタープリテーションの多様なアプローチを明らかにすることを目的とする。清里ではシカのフンを頻繁に目にするが、それをどのように扱い、どのように参加者へ伝えているのかについて関心を抱いた。

　異なるインタープリターがシカのフンをどのように解説し、どのような手法を用いて参加者の理解や関心を引き出しているのかを比較・分析することで、インタープリテーションの応用可能性を検討する。

　そのために、清里においてシカのフンを扱うインタープリターを対象に聞き取り調査を実施し、各インタープリターのアプローチや意図を整理した。

大学と動物園の協働による環境教育の展開
~南アルプスの現状と課題、そして人と自然との共存を考える~

発表者：山本真弦・今井優人・城取七音・瀧澤大輔・田中琉登・中村夢叶・三村輝香涼
（松本大学 総合経営学部観光ホスピタリティ学科4年）

　現代では、地球温暖化による環境問題がより顕著に表れており、異常気象などによって私たちの生活にも多大な影響を及ぼしている。地球温暖化は環境問題以外にも様々な問題を引き起こす要因であり、今回取り上げている動物園の動物たちにも関係している問題だ。今回の企画のタイトルにある「南アルプス」ではシカの食害が起きており、シカの食害も地球温暖化が関係している。

　だが、多くの人は獣害と地球温暖化の関係について、知らない人が多くいる。企画によって、動物に関する問題を知り、身近な場所の環境問題について知ってもらい、行動を起こしてもらうことを目指した。

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「ダニロン錠」事件を伝え残す意義
−薬害防止における労働者保護−

発表者：福井 乃香
（都留文科大学 教養学部 地域社会学科 4年）

　戦後の日本は、薬害の発生と対策の繰り返しという歴史を経てきました。結果として、近年は薬害が起きにくい社会体制になりつつあります。しかし、医薬品をめぐるデータ不正事件は今も発生しており、法制度の改正等ではもはや限界がみられます。対症療法だけでなく、薬害発生の原因をなくす原因療法的な対策こそが求められます。

　1980年代に起きた「ダニロン錠」事件はまさに、労働組合による原因療法的な対策によって薬害が防がれた事例です。同事例から、労働者の保護が薬害防止につながることが示唆されます。労働者保護による薬害防止実現のためには、この教訓を後世に伝え、労働環境に対する社会全体の意識を改革していくことが重要になります。

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清泉寮ジャージー牛ファンクラブ
取り組みと展望

発表者：鈴木 駿輔
（公益財団法人 キープ協会 環境教育事業部）

　「清泉寮ジャージー牛ファンクラブ」では、普段入ることのできない農場内の見学や、牛とのふれあいを通して、酪農の現場や、有機ＪＡＳ認定牛乳を多くの方々に知ってもらう機会の提供を行っている会員制の事業です。

　弊団体の農場では、「有機JAS認定」のほか、山梨県内で、牛たちの衛生面やで健康面に配慮した飼育を行う農場が認定される「やまなしアニマルウェルフェア」など牛たちを生産の「商品」としてではなく、一頭ずつの命を尊重した飼育に取り組んでいます。長年、高冷地での酪農に取り組んできた弊団体農場の現在の取り組みや、そんな取り組みをお客様にお伝えする、「清泉寮ジャージー牛ファンクラブ」の内容を踏まえ、今後の「清泉寮ジャージー牛ファンクラブ」を展望します。

香害に潜む化学物質過敏症

発表者：望月 香里
（都留文科大学 教養学部 地域社会学科 4年）

　香りは、嗜好品やエチケットとして用いられてきました。2000年代になると、次第に香りの強い製品が増え、2010年頃にはマイクロカプセルを使用した製品も販売されました。それにより、香りや除菌・消臭効果などが長時間持続するようになりました。

　しかし、これらの人工的な香りが原因で、香害被害を引き起こすことがあります。深刻化すると化学物質過敏症へと発展します。

　既に香害や化学物質過敏症の問題は深刻で、被害者や患者の生活を制限しています。にもかかわらず、現時点で国や行政は実質的な対策に至っていません。それどころか香害の認知度は低く、あまり知られていません。このような現状を改善し、全ての人が健康で過ごしやすい社会づくりが求められます。

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神奈川県相模原市のリニア開発にみる合意困難性―行政の「説明責任の欠如」がもたらす住民の「無関心」―

発表者：大友 天斗
（都留文科大学 教養学部 地域社会学科 4年）

　昨年の6月29日、神長先生の紹介で、早稲田大学浜本教授が主催したリニア中央新幹線神奈川県駅（仮称）周辺視察に参加しました。視察ではJR東海職員によるリニア開発の進捗状況だけでなく、開発が神奈川県相模原市にもたらしている被害の実情を市民団体から聞くこともできました。その際、運動する市民が口を揃えて「日本の行政、立法に私たちは期待できない」と言っていた点が印象に残っています。

　その後、自分が公務員志望だったということもあり、住民側と開発側の間にはどのような合意困難性が存在しているのか本事例をもとに研究しようと考えました。この卒業論文を通じて、大規模開発の裏に隠された被害者達にも注目する多角的な視点を養うことができたと感じています。

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