アサザ基金訪問と小山市での環境教育視察

12月18日、NPO法人アサザ基金を訪問し、事務局長からNPO発足から約30年間にわたる湿地保全の取り組みについてお話を伺いました。アサザ基金は、縦割り行政の課題を背景に、さまざまなセクターを横断的につなぐ役割を果たしてきました。特に、専門学校を卒業したばかりの若い職員を採用し、次世代の担い手育成に力を入れている点が印象的でした。
その後、夕方には小山市に移動し、小山市長をはじめ、ゼロカーボン・ネイチャーポジティブ推進課の職員との懇談会が開かれました。行政と市民がどのように連携して環境保全を推進しているのかについて意見交換を行い、交流を深める機会となりました。
小山市での環境教育実践視察

12月19日の午前中には、小山市立下生井小学校の4年生による教育実践を視察しました。この授業では、コウノトリの野生復帰をテーマに、徳島県鳴門市の小学校とのオンライン交流が行われました。お互いの地域の特色や湿地環境の多様性について発表し合い、子どもたちが主体的に学ぶ姿がとても印象的でした。
また、その後には小山市長や教育長、下生井小学校の教職員との意見交換会が開催されました。韓国からの視察団も参加し、日韓の環境教育の取り組みについて活発な交流が行われました。
渡良瀬遊水地とコウノトリ交流館の訪問

午後には、日本最大級の湿地である渡良瀬遊水地を視察した後、小山市立コウノトリ交流館を訪れました。施設を運営するNPO法人の代表から、渡良瀬遊水地の特徴やコウノトリの野生復帰に向けた市民参加型の取り組みについてお話を伺いました。地域住民の協力を得ながら進められている環境保全活動の重要性を再認識しました。
ICTを活用した環境教育の実践と日韓交流
夜には、日本の学校教育における湿地教育の現状について、田開が報告を行いました。さらに、ICTを活用したワークショップを実施し、現在開発中のオープン教材を韓国の教師に試用してもらいました。韓国では、仁川広域市教育庁のAI融合教育課生態転換教育チームが、ICTを活用した自然体験活動を基盤とした環境教育の在り方を模索しています。
今回の交流を通じて、日韓双方で環境教育や教材のあり方について議論を深める必要性が共有されました。実践と研究を結びつけながら、より効果的な環境教育を展開していくことが今後の課題となります。
本調査は、科研費21K13592「湿地を生かした地域・自治体づくりとESDをテーマとした研究」の助成を受けて実施しました。今後も湿地を通じた地域活性化や環境教育に貢献できるよう、研究を進めてまいります。